夏物語




「はい。」



力なく返事すると、薫くんは満足そうに微笑んだ。



「雛、今俺すげぇキラキラしてる。キラキラしたもんは無理に見つける必要なんかない。無理に見つけようとすれば、それはもう光ってない。何年後でも、何十年後でもいいから、あの時楽しかったなって思えたり、今が楽しいって素直に自然に感じた時、人はキラキラするんじゃねーかな。」




「そうですね。」





お父さんが言ってることも、薫くんが言ってることも、全部、今の私に欠けていることなんじゃないかと不安になる。