夏物語

「まだ冷えとらんよ。庭に行って水路に置いてきな。」


案の定、スイカはまだ冷えていなかった。



それでも、薫くんは嬉しそうにスイカを担いで水路に行った。




「ええ子やね。かっこいいし。」




「うん。」




「ばあちゃん、お嫁に行こうかな。」



「…。」



たまにばあちゃんって凄いこと言いだすよね。



たぶんうちだけじゃないと思う。



無言の私にばあちゃんはいやらしく笑っていた。



「やきもちかい?」



「うるさいっ!」