「雛ってさ、俺のこと覚えてないでしょ?」



「すみません。」



「いいよ。じゃあさ、この辺の案内してくんない?」


「案内?」


「そ。俺は都会の空気が嫌になってここに来たんだ。帰るまではここの綺麗な空気をずっと感じてたいんだよ。だからさ、明日散歩しようよ。」




綺麗な空気…か。

自分の住んでる町の空気が綺麗だなんて思ってもみなかったから、なんだかちょっとだけうれしくなった。


「いいですよ。」