鬼龍‐金色の覇者‐


「…痛いじゃないですか。」


『痛くしたんだから、当たり前。』



痛そうに顔を歪めながら、姫蝶を見上げる藤夜。

秋は何時の間に姫蝶が来ていたのか、内心首を傾げながら呟くと姫蝶はふわりと笑う。



「おはよう、」


『おはよ、秋。ところで、匡って何処にいるか知ってる?』


「匡なら昨日いた屋上にいるよ」


『そっか、ありがとう』



笑顔は可愛い。けど、何処か違和感のある表情に見えた。

変装をしているからだろうか?


首を傾げる事ばかりだな、と思いつつ、屋上に向かうのだろう彼女の背中を見送った。