「ふぁあぁ~っねむ…。」
「姫蝶、遅いですね。どこかで捕まっているんでしょうか?」
「そうだねぇ、あの子綺麗だもん。」
「(そう言う意味じゃ……。まあ大丈夫でしょう。)」
ポカポカとした陽気に大きな欠伸をした秋は、姫蝶を心配している藤夜の横顔を見つめる。
「あの子さぁ…。」
「はい?」
「危ないよね、色々と。」
秋は昨夜の事を思い出していた。
裏の人間と喧嘩をしたという彼女。
女の子が喧嘩をしないしてはいけない、という事はない。暴走族の総長をしている女の子もいるし、男より強い女だって世の中には沢山いる。
けれど、彼女は余りにも無鉄砲過ぎると、話を聞いていて思った。
「あの子とは会ったばっかりで何も知らないけど、藤夜たちが知ってる限りでもそういう事するの?」
「そうですね…。強いですからね、姫蝶は。放っておけないんですよ、きっと。泣いている女の子とかがいると。」
「優しいね。」
「…そんなことありませんよ。逆に優しいと酷いの割合だと、酷いの方が多い…。」
『それは悪かったなぁ、藤夜。じゃあ三秒後、何が起きるか予想してみ。』
「……頭に一発…」
『正解!』
ゴチンと鈍い音が秋の目の前に落ちた。

