【姫蝶side】


藤夜の連絡で起きて学校に登校してきた私を出迎えたのは、パンダ化粧の五人くらいの女子。



「アンタでしょ!転校早々イキ上がってる女って!」


「ちょっと美人だからって、鬼龍の人達に近づいてんじゃあないわよ!」


「そうよ、アンタなんか―――……」


『あ、藤夜。』



私が遠目に見えた人影の名前を呼ぶと、一気に態度を変えた女たち。

鬼の様なつり目だった目をキャピキャピさせ始め、パサッパサに痛みきった髪を手櫛で整える。

そしていざ揃って振り向くと、



「テメェ…、こんな所で何してやがる。」


「し、茨輝さ、ん…?」


『あれ…?藤夜、いなかった?』



女たちが振り向いた先にいたのは、昨夜龍と一緒にいた茨輝《シキ》だった。


さっきは確かに藤夜がいたんだけどなぁ…。



「藤夜は戻った。匡がぷんすか怒ってんぞ。」


『えー。匡って案外、短気だからなぁ。』


「分かってんならさっさと行くぞ。」