鬼龍‐金色の覇者‐



「止めてよッ!!」

「ば…っ!早く口を押さえろ!」



女の叫び声と男の慌てる声。



「うわ…。」


「痴話喧嘩?それとも十八禁?」


「こんな所だったら、完璧後者だろ。」



三人が立ち話をしていたのは、繁華街の外れ。
声が聞こえたのは、光の入らない建物の裏の方だった。



「面倒臭いなー…」


「おい、お前は此処で……、って、あん?どこ行った、アイツ。」


「あれ?日向ー?どこに…」



二人は周りを見渡すがさっきまでそこに居た、姫蝶の姿が無い。
どこに行ったのか、キョロキョロと探していると。


「な、何だテメェ!!」


『男が女泣かしてんじゃねぇよ!!』



ドコンバカンガツン。

姫蝶の怒鳴り声と共に聞こえて来た、物騒な音。