すると、座敷から春美さんがにゅっと顔を出してきて、にっこりと優しい笑顔を見せた
「あらそう??
私は翔くんなら大歓迎よ??
とっても優しい良い彼氏を、りりかちゃんは見つけたと思ってるわ」
「あ、ありがとうございます…」
春美さんの素直な気持ちが嬉しく、照れてしまった顔を隠すように、蒼汰を下に降ろした
「えーかけるもうおわりー?!」
「男がぐだくだ言うんじゃねぇよ」
だけど、“もっともっと"、とくりくりの目を潤ませて、両手を目一杯広げてせがんでくる
「…はぁ…お前は男のくせに甘えただなぁ」
抱っこをすると、蒼汰は満足したようにバタバタと足を動かして喜んだ
「ほら、皆さんご飯ですよ」
春美さんの掛け声で、メイドが次々に座敷に入り夕飯を並べていくので、俺も机の前に座ると当たり前のように蒼汰が俺の膝に座った
「ふふっ、蒼汰くんは翔くんが大好きなんだね」
隣に座っているりりかが、ニコニコとご満悦な蒼汰の頭を撫でる
「うんっ、そうなの
ぼく、かけるみたいな男になるの!!」
「へえー、そっかぁ
じゃあ、強くて大切な人を守れるような人にならないといけないね」
「そっか!!わかった!!」
馬鹿、何アドバイスしてんだよ
コイツはでかくなって、俺からお前を引き離そうとしてんだぞ
こんなチビにまで嫉妬をする俺も、俺だが…
格好が悪いから今考えている事は、りりかには伝えずにいよう、と心に強く誓った


