昼飯を食べ終わると、りりかはせっせと家の事をし始める


「皿洗いしとくから洗濯してきたら??」


高校時代に半同棲をしている頃から、なるべく手伝える事はしようと俺の中で決めていて、それは今でも実行中だ


「え??ホントに??
ありがとう、助かるよ」


だけど本心を言えば、俺がそう言うと嬉しそうに微笑む表情を、俺が見たいが為でもある


「ん」


皿洗いを交代すると、りりかは洗濯物を慣れた手付きで干し、俺が皿洗いを終えたと同時にそれを終えていた


「はえーな」


「ふふっ、伊達に何年も家事してないよ」


「はっ、そうだな」


こうして二人で仕様も無い話で笑いあえる時間が、何よりも俺の幸せだ



「なぁ、借りてきたDVD見ようぜ」


昨日、武蔵から借りてきた…というより勝手に持って帰ってきたDVDは、コメディ映画


二人で映画館で見たのだが、やはりもう一度見たくなったのだ


だけど、俺がDVDプレイヤーにそれをセッテングした瞬間に、りりかのケータイの着信音が鳴り響いた


せっかく二人でゆっくり映画を観れると浮き足立っていたのに一体誰だ、と電話越しの相手に悪態を付ける


「翔くん、今日の夕飯ね、私の実家で食べない??」


なるほど、電話の相手は実家からか


少し漏れてくる高い声からすると、義理の母親の春美さんだろう


「…ん、わかった」


二人で甘々な時間を過ごしたかったのだが、親から疎遠だったりりかが、こうして実家から歓迎されているのなら仕方ない



俺は重い腰を起こして、彼女の実家に行く準備を始めた