「起きてたなら起こしてくれたら良かったのに…」


掛け布団を目元まで持っていき、俺に寝顔をバッチリと見れた事を恥じるりりかの寝顔など、もう幾度も隣で見てきた


「んなに照れなくても寝顔とか何度も見てる」


率直に今の気持ちを伝えると、りりかは深い藍色の目を大きく開けて驚き、そして俺の肩を叩く


「ばかっ…!!」


と言ってまた離れそうなの華奢な体を、ぐっと自分の方に引き寄せてそれを阻止する


「ふっ、冗談だから」


「冗談に聞こえない…」


俺が少し上の位置に頭を置いているせいで、りりかは深い藍色の瞳で、自然と上目遣いで見つめてくる


思わずその可愛らしさに胸がきゅんと高鳴る


不意打ちでくる彼女のこう言った表情は、俺を動揺させて、それと同時に“俺以外にはするな"、と独占欲が湧き出てしまうのだ


「えっ、もうこんな時間?!
お昼の用意しなくちゃ!!」


「ちょっ、おいりりか…!!」


せっかく良いムードだったのにも関わらず、りりかはいそいそと寝室を出てキッチンへと行ってしまった


一人取り残された寝室には、俺の深い溜め息が響いた