「騒がしすぎだろ」
ずっとスマホを触っていた翔くんは、やっとポケットにそれを仕舞い、当たり前の様にその手で私の右手を包み込む
それだけで心が温かくなる
「ふふっ、でも楽しかったね」
「ん、またしようぜ」
「もちろんっ
…それよりスマホ触ってたけど、どうしたの??」
皆がいる時にわざわざ連絡をしているなど、珍しいことなので、一つの疑惑が浮かび上がってしまう
彼はモテるから、もしかしたらって思わずにはいられず、柄にもなく変なことを聞いてしまった
「ああ、お袋から
飯どうするか連絡きた」
「あ、そっかっ…なら良かった…」
「…何、女ともでも思った訳??」
私の真意が丸分かりの翔くんは、にやりと悪戯っぽく口の端を上げる
「べっ、別に…!!
そんなこと無いけど…」
「“けど"何??」
「~~ちょっと気になったのっ…
……もうお願いだからからかわないでっ」
さぞかし翔くんは楽しいだろうけど、私は発火する寸前だ
「悪りぃ悪りぃ
もうからかわねぇよ」
そう言って二人の時だけに見せる、くしゃりと端正な顔を崩して笑うこの笑顔せいで、何もかもを許してしまうのは、もう惚れた弱みだろう


