「あっという間に過ぎちゃったけど、楽しかった」


「うん、そだね〜」


「そうだね」


この高校で翔くんと出逢えた事が、一番の思い出だ


私の勝手な都合で別れた事もあったけど、それでも彼への想いは大きかった


今でもよりを戻せた事が信じられない時もあったりする


いつも私を大きな逞しい腕で、抱えてくれる翔くんと出逢えて本当に良かった



翔くんや武蔵くんよりも先に卒業する事に、申し訳なく思うのだけれど、こればっかりは仕様が無い


「ねぇ、りりか
制服でプリクラ撮りに行こう!!」


「ラストだし行こうよ」


「…ふふっ、そうだね!!」


入学した頃も、“初めてこの高校の制服を着た記念だ"って言って撮りに行ったよね


こういう所は三年前と変わっていない、私達



思い出が詰まった教室を離れて、学校の校門へと向かうと、ちょうどそこには会いたかった人物が──


「翔くん!!」


ほとんどの卒業生は皆もう帰宅していて、ここにいる人は私達くらいしかいない


「りりか」


私を見付けると優しい笑顔をくれる翔くんと、こうしてここで会えるのも最後だと思うと、胸が締め付けられた