「私がこの話を聞いたのは一年ほど前でした
ただ“隠し子がいる"と…
あの人は誤解されるような物言いしか出来ない人ですから、秘書の篠原に問い詰めたの
そしたら、貴方の事を教えてくれたわ」


「………」


「貴方を探し出すことは安易に出来たのだけど、どの様に貴方にこの話をすればいいのかずっと悩んでいたの…
きっと今日、こうして貴方に会えたのは、貴方のお母様のお陰ね」



ふふっと品良く笑った春美さんは、なんていい人なんだろうか


「ありがとうございます」


有り触れた挨拶

だけど、ただもうこの言葉しか思い浮かばなくって…


明かされた真実と、やっと理解出来た想いに私は自分に余裕がなかった



「あ、そうだわ!!
今美味しいお菓子があるのだけど、一緒に食べない??
持ってこさせるわね」


すぐさま部屋の外で待機されていたメイドに頼みに行く


「なんだか、お茶目な人だね」


「そうだな」


春美さんは政略結婚と言っていたが、父はきっと春美さんだから結婚しようと思ったのではないだろうか


大金持ちの正妻なのにそうは思わせない素振りは、私達に親近感を与えていた