そして友人は、私と加奈子との間に生まれた子を紹介してくれた


一目見て我が子だと、直感的に感じた


加奈子に良く似た雰囲気と顔付き


そして深い藍色の瞳


この瞳は私の母が外国人の為に、私はそれを受け継いでおり、我が子もまたそれを受け継いでいた


愛らしいとはこういうことなのか…



…………しかし、一緒には暮らせない


私には既に家庭があり妻子がいる


必ず肩身の狭い思いをするに違いない


そんな中に、この愛おしい我が子を放り込むことは出来なかった


嫌われる事を恐れては、愛おしい我が子を守ることは無理である


だからわざと嫌われるような態度を取り、別々に生活を送らせたのだった






今回の政略結婚はりりかに幸せになってほしいと思いしたことなのだが、それが裏目に出てしまった


共に生活をしていなければ、こういうことになってしまう


「私は父親失格だな…」


果たして、私がりりかにしてきた事は、正しかったのだろうか…


自嘲気味に笑った後、私は会長室を後にした



──終──