棺桶に入る加奈子の顔は多少は皺が増えてはいるが、綺麗なのは変わらずに安らかに眠っていた


やっと会えたと思ったら、もう会えないなんて…

なんて人生は残酷なのだろうか…


加奈子の友人が言うには、加奈子は小さい頃から持病持ちで、身体が弱かったらしい


そんな話は私は一度も聞いたことが無かった、と言えば友人は、心配をかけたくなかったのでは、と答える


「心配くらいかけされろっ…」


私は棺桶の隣で冷たくなった彼女の頬を撫でて、一粒の涙を流した


すると友人は私に一通の手紙を渡した


急いで封を開けて内容を見ると、そこには驚愕の真実が書かれていた


十数年前、彼女が私の元を離れた理由は、私の父からの圧力であったということ


そしてその同時期に私と加奈子との間に子供が授かった事を知り、私に迷惑をかけまいと自分は身を引くと決めたということ


あまりの事実に私はしばらくの間、頭が動かなかった


もっと詳しく知りたいと思うのに、その彼女とはもう会話が出来ない…


臆病になったなどほざいていたが、単に俺は裏切られたと子供みたいに拗ねていただけだった、とこの時初めて理解した


何て浅はかな行動を取っていたのだろうかと、悔やむことしか残されていなかった