「岡本りりかさん、じゃありませんか…??」


どうしてこんな人が私の名前を知っているのかと疑問に思ったが、私が素直に首を縦に振ると女性は嬉しそうに微笑んだ


「そう…あなたが…」


懐かしそうに微笑むのだが、視線はどこか遠くの方を見据えている


よくよく、目の前の女性を見ると大きな花束と桶を持っていて、きっとこの人は母の知り合いで墓参りに来てくれたのかなと思った


「…あの、母のお知り合いですか??」


「いえ、直接お会いしたことは一度もありません
ですが、貴方のお母様の事は存じ上げてはおります
そして、貴方も」


こんな何処にでもいる私と母の事を知っているとは、いったいこの人は何者なのかと不審になる


詳しく聞きたいのだがお墓参りが先だと思ったので、私達は墓地の入口で待っていると約束をしてその場から離れた




───………



しばらくすると女性が階段を降りてきた


「ごめんなさいね、お待たせしてしまって」


「いえ、こちらこそわざわざありがとうございました」


「そんな、良いのよ
…りりかさん、詳しくお話しましょう
ここでは何だから、場所を変えましょうか」


すると墓地の前に止まっていた黒の高級車から、スーツを着た如何にも執事の男性が降りてくると、女性はその男性と少し話をしてから私達を手招きした