段々と強くなる雨もお構いなしに、俺は一目散にりりかの元へと急いだ


通い慣れた彼女の家への道のりは、足が覚えていて何も考えずとも目的地へと着いた


オートロック式だが、たまたま出てきた住居人のお陰で、もたもたせずに入ることが出来た


エレベーターを上がり、彼女の家の前に立って一呼吸してからインターホンを押した


ガチャリと開かれたドアの向こうに映る驚きに満ちた表情を見ると、俺は全身びしょびしょにも関わらずに抱きしめていた


「──りりか……」


見ない間に前よりも身体の線はほっそりとしていて、きつく抱きしめてしまうと、今にも壊れてしまいそうだ


静かに閉まったドアの音が、静かな彼女の家に大きく響く


「…翔くん……」


懐かしい可愛い声に俺の耳は喜び、ゆっくりと背中に回される彼女の細い手



あまりにもこの腕に収まる小さくて愛しい人の存在が嬉しすぎ、彼女の想いを確かめるにはまだ時間が欲しい



しばらくの間、二人して一言も話さずにただただ、想いに浸たっていた