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りりかの父親から話を聞いた数日後、俺はたまたま武蔵の家にいた


休みの日までわざわざコイツに付き合わされている理由は、なかなかクリアーしないコイツのテレビゲームを武蔵がクリアーさせて欲しいと言ってきたからである


昼前からここに来ていたのだが、ゲームに没頭していたらしく、もう外は夕暮れである


季節は梅雨になったが、まだまだ陽が沈むのが早く、外はもう暗闇になり始めていた


それに加えて雨もチラチラと降り出したので、帰ろうと武蔵の家を出た


「あれ??優美??」


玄関を出た瞬間、前の家から武蔵の想いを寄せている彼女が姿を見せた為に、武蔵の顔は一段と緩みだらしない顔になる



「清水くん!!
りりかが戻ってきた…!!」


俺を見つけた優美ちゃんは、すぐさま俺に駆け寄って俺の手を両手で握り締めた


「えっ…?!」


「帰ってきたの!!
ほら、もたもたしてないで早く会いに行ってきて!!」


「でも…」


俺が行ってもいいのだろうか…


今更行っても、もう彼女には違う想いがあるかもしれない


そう戸惑った俺の背中を、優美ちゃんが力強く押して前に進む様にと促せた


俺は振り返り二人の表情を確認して頷き、恋焦がれる彼女の元へと駆け出した