年下の不良くん


「かーけるくんっ!!
今日はやけに大人しいでちゅね〜」


いつもなら、すごい形相で睨みを効かせているはずの所で、俺は相変わらず放心状態であった


「……あぁ」


「お兄ちゃんこれから飯作るけど、お前のも作ってやりましょうか〜??」


「……あぁ」


あまりにも酷い有り様だったのだろうか、おちゃらけていた兄貴が真剣な趣きで俺に話しかけてきた


「お前…どうしたんだよ??
何かあったのか??」


「………りりかが、戻ってくるらしい…」


「マジで?!
良かったなお前!!」


そう、素直に喜びたい


だけど、きっと彼女は優しいから戻ってきても、裏切ってしまった婚約者への罪悪感に心を痛めているに違いない


優しすぎるが故の、苦しみや悲しみ


きっと一人で悲しんでいる…可能なら俺が傍にいてやりたい…


「翔、お前まだりりかちゃんのことが好きか??」


俺の答えを分かりきっているのに、兄貴は当たり前の質問をしてくる


「──あぁ、好きだ」


いや、本当は愛している


だが、この言葉はりりか本人に伝えたい