年下の不良くん


小刻みに上下していた貧乏揺すりが無意識のうちに止まり、間抜けな面をおっさんに向けた


「…りりかが、戻ってくる…??」


疑わずにはいられない事実に俺がおうむ返しすると、おっさんはめんどくさそうに頷く


「婚約も破棄にして戻らせる」


嬉しいことがこうも重なると、押し殺していた感情がみるみる内に顔に出てくるのがわかる


「もし、小娘…いや、りりかが、戻ってきたならば…その、快く迎えてやってほしい」


そう言うと、おっさんは横を向いてコーヒーを飲み終えると、俺の返事も聞かずに喫茶店を後にした


そんな意味不明な行動は、おっさんの照れ隠しだったなど、自分の事で手がいっぱいの俺が知るよしもない


帰りは行きの運転手とは違う運転手が、俺を家まで丁寧に送り届けてくれた


挨拶も無しに家に入ると、俺に気づいた兄貴が寄ってきて俺の肩に手を回す


いつもならばそれを振り払うのだが、今はそれどころではない


兄貴は素直にやられっぱなしの俺を、一瞬、不審がったが、珍しい事なのでいつもより絡んできた