「お待ちください、清水様」


運転手に肩を掴まれて、俺は眉間に皺を寄せながら振り向いた


「あ??何だよ」


「りりか様の事で、非常に大切な御話が御座います」


じっと見つめてくる運転手の眼差しは真剣そのもので、何か起きれば自慢の腕っぷしでどうにかなるだろうと思い、俺はやむなくコイツらに着いていくことにした


後部座席のドアを運転手が開けてくれ、りりかの父親だと名乗るおっさんの隣に腰を下ろす


まじまじとおっさんを見るのだが、何一つ似ている要素がない


「なぁ、おっさん
ホントにりりかと血ぃ繋がってんのか??」


こうして確認しても既に車に乗っているので、後で泣こうが喚こうが後戻りは出来ないのだが…


「当たり前だ
あの小娘を今ままで育てたのは、紛れもなく私だぞ
それとだ小僧」


「あ??」


「親子が必ずしも瓜二つになるなどという概念は捨てろ
それから目上の人間に対する口の聞き方というものを覚えろ」


いつ息継ぎをしているのかと疑問に思うほどの剣幕が気になり、さほどおっさんが言っていた内容は頭に入ってこなかった


「証拠もねぇのにんな事がよく言えるなぁ」


俺の呟きにおっさんは、ぎろりと睨みを利かせたが、俺は屁とも思わずに流れる景色を見つめていた