そして表情はうって代わり、苦しそうに眠るりりかの顔


変わってやりたい、と心の底から思うのだが、こればかりはしょうがない…


眉間に皺を寄せ、苦痛に満ちた表情で寝返りをうつ、りりかの頭を優しく撫でる


「……ん…、か……る……く…ん…」


彼女の寝言に、頭を強く鈍器で殴られたような気がした


そして、目の前が真っ暗になった


……今…“清水翔”の、名前を…??


………嘘だろう…??


まだ君は、“清水翔”を想っているのか…??



──認めたくない、認めたくない、認めたくな



君を決して、俺は渡さない


そんな気は更々ない、いや、はなから毛頭ない



いつから好きになったのか、なんて関係ない


気付けば、りりかが隣にいるのが当たり前の生活が自然と化されていて、そうではない世界はもう考えられない


忘れかけていた嫉妬が、じわりと俺の醜い心に、気持ちに、ゆっくりと、そして確実に染み渡る


認められない事実に俺は顔を背け、彼女の顔にかかった柔らかい髪を払い、また撫でた


──あんな少年に、りりかを渡して堪るか


俺は、強くそう誓ったのであった




──終──