「りりかは俺が連れて帰るから、君は授業に戻ったほうがいいよ」


「………アンタ、りりかの彼氏なんだろ??」


ぎろりと訳もわからず睨まれてしまい、自分は何かこの男子生徒に悪いことをしただろうか


「うん、そうだけど…何??」


「……てんめぇ…りりかの彼氏ならもっとりりかのことわかれよ…!!
こいつが…こいつが人より何倍も我慢しいな事くらいわかれよっ!!
んな中途半端な気持ちで付き合ってんなら今すぐ別れろっ!!」


捲し立てられ、胸ぐらを掴まれた瞬間、彼がりりかの元カレか、と理解した



──数ヶ月前、あの爽からの意味深な質問に、違和感を感じた俺は、部下に詳しくりりかを調べるようにと命じた


すると、彼女が俺と婚約する直前まで、付き合っていた事が判明する


元カレの名前は“清水翔”


学年で不良の男子生徒の、いったいりりかは何処に惚れ込んだのかと疑問に思った


目の前で俺の胸ぐらを掴んでいる“清水翔”は、黒髪だが耳は開けており、制服は着崩していてまさしく不良そのものである


こんな男より俺の方が──という、訳のわからない自信が出てくる


俺はいつからそんな自惚れ屋になった…??


自分で自分を笑ってしまう