「そんなに笑わないでよ」

私が笑うと、拗ねていた顔が緩み、いつもの優しい笑顔を見せた


「ごめんごめん」

わしゃわしゃと髪の毛をされていた手が止まり、下を向いていた顔を上げると、いつになく真剣な表情の春樹


「…ねぇ、りりか」


「なに??」


真っ直ぐと綺麗な顔に見つめられると、何故か反らしてしまいたくなる


「俺から、離れていったら駄目だからね
りりかはずっと、俺の傍にいるんだよ」


春樹からそんなことを言われるのは初めてで、目を見開いた


ここに来てから、早くも一ヶ月が経とうとしているが、春樹から独占欲にも近い言葉をかけられたことは、一切無かった


多少強引な所があるが、割りと自由に、私を縛ること無く、生活をさせてくれていたし、我が儘だって聞いてくれた


だけど、それは私を何とも想ってもいないからだと、そう信じていたからである


だけど今のは、そう…まるで“告白”だ…