「…岡本、それでいこう」
「へっ??」
「その手で、清水を学校に引き留めよう
もうこれしか方法がない」
「………」
私は、首を縦に振れなかった
彼との関係を絶つと自分から切り出したのにも関わらず、のこのことまた彼に近づこうとしている
自分が言い出した事だが、それは決して今の環境からしてはならない
「…お前が頑なになるなんて、先生初めてみたよ」
萩原先生がぽつりと呟いた言葉が、やたらと胸に残る
それでも私は黙りを突き通す
先生は少し唸り、ぽんっと手を叩いて
「先生が作った事にしたらいい
お前の名前は絶対、口にしないと約束するし安心しろ
先生、こう見えても意外と器用なんだぞ」
と無邪気な笑顔を見せた
……うん、それなら大丈夫だろう
私の料理の味は、他の家庭の味とさほど変わりはないし、まずそんなことに気づかないはずだ
私は無邪気に笑う先生に、こっくりと首を縦に振り了解した