「いやさ、家族全員で、翔からフったんなら、アイツを血祭りにしてやろう、って話をしてたところなんだよ~
翔の奴、命拾いしたな~」
暢気にコーヒーを啜る、晃さん
あまりの予想外な話に、私は笑けてしまって、腹の底から笑った
何時ぶりだっただろうか、こんなに笑ったのは
「ふふっ、どんな話をしてるんですか、もう
あー、お腹痛いっ」
「…うん、やっぱり、りりかちゃんはその笑顔が一番似合うよ」
「え…??」
「暇なとき、いつでもウチの店に来てよ
もっといろいろ面白い話があるから」
「…でも、翔くんが…」
彼が働いてる所に、のこのこと行ける程、私は強くない
「アイツなら、今バイトしてない
遊び呆けるのに、精一杯て感じ??」
あの痛そうな生傷の事を言ってるんだろうか
「…私のせいです…ごめんなさい…」
「それは違うよ
ただ単に、アイツの心が弱すぎるだけだ
りりかちゃんが謝る事なんて一つもないよ」
そう言って目を細めて微笑み、ポンポンと私の頭を撫でてくれた
「だから、いつでも来てね
今、新しいメニューを作ってる最中だから、りりかちゃんに試食して欲しいんだ♪」
話題を変えてくれたのは、私が泣きそうな顔をしてしまったからかな
「わかりました
近々、行きますね」
その優しさが私を暖かくさせ、自然と頬が緩んだ
そして、時間も時間になった為、私は晃さんと別れ喫茶店を後にした
晃さんと話せて、久々に自分の気分が少し晴れたような気がした