その日も彼を廊下で見かけたが、昨日とは別の女の人を隣につれていた

頭では理解し納得していても、心は素直で、ズキズキと痛んだ



──そんな日が数日続いたと思うと、ピタリとそれは止まった

しかし、翔くんの顔には日に日に生傷が増え、最後には彼を学校で見かける回数が次第に減っていった

そうなるのに、そんなに時間は掛からなかった


「どうしたんだろう…??」

そう疑問に思っても、誰にも聞くことができない

いや、できないのだ

優美に相談すると、必然的に武蔵くんの耳にも入り、二人を複雑な気持ちにさせてしまうのは、目に見えてわかっている

“遠慮は禁止”と毎度言われていたが、自分が原因なので、やっぱりしてしまうのである


学校からの帰り道、一人で悶々と考え込んでいると、誰かに肩を叩かれて振り向くと、予想外な人が手を振りニコニコと笑った

「晃さん!!」

元旦以来、会っていなかったのだが、もっと昔の事のように感じられた