「爽が女をそんなに気にするなんて、珍しいね」

夕飯を食べ終えた奴は、机に向かいやるべき仕事をこなし始める

「そんなことはない
ただ、何故か目が離せないだけだ」

生い立ちの可哀想な奴だから、何かしてやれないだろうかという同情心だ

別にそれ以外の感情は一切ない

「お前、俺から奪う気か??」

ギロリと睨むその顔は、明らかなる嫉妬である

何が“気持ちの整理がついてない”だ

その態度が、もう結論なようなものではないか

だが、こんな事を言っても、コイツは頑固だから頑なに否定するだろうがな

「お前と一緒にするな
俺は女子高生に手など出さない」

「ははっ、ひでー言い方だなぁ
冗談だってば~」

そんな風には聞こえなかったぞ

次は俺がギロリと奴を睨み、一喝

「そんな事はいいから、早く仕事をしろ
お前のせいで、俺まで残る羽目になったことを忘れるな」

「はーい、すいませんでした~」


こんな脳天気な奴が、よく社長なんて出来るとつくづく思う

しかし、仕事になるとコイツは一変する

「…常にそれだったら良いのだが」

ボソリと呟いた俺の言葉は、仕事中の奴には聞こえてないだろう

まるで、二重人格のようだと、鼻で笑った



──終──