「母親が亡くなった事、まだ吹っ切れてないのかもしれない、って俺はみてるんだけどね」
「そうか
…だがもし、彼女が付き合っていたとして、その相手をまだ忘れていないなら、どうする気だ
手放すのか??」
からかうように、ニヤリと口端をあげる
「ははっ、そんな事しないよ
──手加減せずに彼女を奪う」
あまりの予想外な答えに、自身の口が少し開いてしまった
「お前…本気で彼女が好きなのか??」
元はといえば、コイツのお遊びで口走った事が原因でこうなっている
コイツが好きで彼女を連れてきたのでは無いことくらい、俺にでもわかる
ただの気まぐれに過ぎないと、そう思っていたのだが…
「…いや、まだ気持ちの整理はついてない
だけど今、俺の前から居なくなるという事が考えられない」
──それはつまり、彼女を慕っているということではないのか
そう言い掛けた言葉は、コイツが箸を進めて話を終わらせた為、飲み込んだ


