「りりか、寂しそうにしてたでしょ??」

「いつも一緒に居るわけでもないから、そんなことわかるはずがない」

そう言ったのだが、彼女の頬がなんとなく濡れていた

そして、自然と先程の出来事が思い出された

「おい、春樹」

モグモグとリスみたいな顔になっている奴は餓鬼並で、俺はその食べ方に自然と眉間に皺が寄る

「なはぁに??」

「りりかの母親が亡くなったのは、今年のことか??」

「??…いひぁ、ふぁしか、ふうねん前はったひが(いや、確か数年前だった気が)」

「そうか…」

チラッと一瞬しか見れなかったのだが、あの指輪の内側には、今年の西暦が刻みこんであった

「母親は何歳で亡くなったのだ」

「三十代後半だったと思うけど…
それがどうかした??」

それならば、あのティーンエイジャー向けの指輪ではおかしい

それにあれは、ペアリングとみえた

彼女は母子家庭で、父親は母親が死ぬまで知らされていなかった

母親の形見だと言ったが、いろいろと違和感がありすぎる

真剣な趣の俺を不思議がった春樹が、箸を進める手を止めた