「いつもの事だからね~
ねぇっ、もう食っていい?!」
並べ終えてや否や、すぐに“いただきま~す♪”とパクパクと箸を進める
その様子を微笑ましく思いながら、私も食べていると
「久しぶりの学校どうだった??」
もう皿には残り少なくなった春樹が、突如聞いてきて自身の肩がビクついた
「えっ、う、うん…
流石に質問攻めには食らったけど、他はいつも通りで楽しかったよ」
…ねぇ、私、ちゃんと笑えてるかな??
嘘だって、気付かれないかな??
勘の鋭い春樹だからこそ、余計にひきつった物になっていないか心配になる
「そう??
なら良かった」
優しいその笑顔に、嘘をついてしまった罪悪感に包まれた
翔くんの事をここまでして隠すのは、ただ単に、この縁談が破談になる可能性が高いからである
そして多分、春樹はこの事を知ったら、縁談を進めてはくれなくなる
それは、父にしたら不都合で困るのだ
だから、隠し通すのみしか選択技がない
それがただの、“恋人ごっこ”だとしても──


