「そっか…」
冬の寒い空気が、私の頬を冷たくさせる
そろそろ帰ろう
二人に別れを言おうと口を開けた時、
「りりか」
後ろから名前を呼ばれて、私は振り返った
「──あ、春樹」
話が長引いたため、心配した彼がわざわざ迎えに来てくれたらしい
「ごめんね、遅くて」
「いや、つのる話もあるよ
こちらが、優美ちゃん??」
チラリと優美を見た春樹が、にこりと微笑む
「え、どうして名前…」
「あ、私がさっき教えたの」
「初めまして、近藤春樹です」
「田口優美です」
ペコリと会釈する春樹を、武蔵くんは冷たい目で見つめていた
…そうなって仕方がない
彼からしてみれば、春樹は翔くんから私を奪った悪者扱いだ
でも、真の悪者は、勝手に話を進めた父にあるのだが…


