「……昔から、あの子ばっかり苦しい思いしてて…
やっと、それから解放されたと、思ったのに…」


やっと、やっと、“翔くん”という幸せをつかんだ様に思えた


幸せそうに笑うりりかを見て、親友である優美も嬉しかったのだ


「…周りの人ばっかり、気にしてさ…
自分はその次って…どんだけ優しかったら気が済むのよ…」


何も出来ない自分に腹が立ち、憎まれ口ばかり口走ってしまう


「…りりかね、母親が亡くなった時、人前で泣かなかったの…
ずっと笑って、挨拶してた…」


周囲が泣きわめく中、ただ黙ってぼんやりと遺影を見ていた、彼女


一番泣き叫びたいのは、りりかであった


それを感じ取った優美は、そんな彼女を親友としてずっと、支えてやろうと決めたのだ


一人で頑張る彼女から、少しでも自分を頼り、彼女の背負う荷物をわけて貰おうと…


それなのに何も動けない苛立たしさに、涙が止まらない


そんな優美の思いを感じ取った武蔵は、静かに彼女の背中を強く抱きしめた


親友の為にここまで思える優美を、不謹慎ながらも惚れ直してしまった


そして当時に、優美と、先ほどりりかに頼まれた事を、自分が支えていかなければ、と心に強く誓ったのであった




──終──