「…ごめん
だけど私ね、父親には逆らえない
…ここまで私を育ててくれたのは、紛れもなく父なの」
あんな人だが、それは真実であった
「武蔵は知らないでしょ??
…りりかの父親は、りりかの事を娘だなんて思ってない」
そう、ただの利用できる、“玩具”
「…ごめん、りりかちゃん
何も知らないのに、余計な事言って…」
「ううん、いいの
…ねぇ、武蔵くん」
俯いた武蔵くんに、私はこう言う
「翔くんを、支えてあげてほしいの
私の分まで…お願い」
彼は、多分また、付き合う前の不良に戻ってしまう
ううん、それ以上に荒れてしまうかもしれない…
だけど、それを私は止められないし、何も出来ない
これからは、私は陰で彼を見守るしか方法がないのだ
「……もう、戻れないの??」
泣きそうな顔をする武蔵くんから、翔くんがどれだけ心配しているのかが、読みとれた
私は小さく頷き、
「…戻れない
……だから、お願いね」
無理矢理にそれを押しつけた
それから武蔵くんは、何も言わずに黙り込んだ
「…りりか、学校は来れるよね…??」
「二週間程、行けないの
父との手続きとかをしないといけないらしくて…」
「わかった…
じゃあ、ノートは任せてね」
「ありがとう」
心強い親友を持ってて良かった
しばらくして、私達は別れた
彼女達と会うのは、二週間後
そして、翔くんと会うのも、二週間後…
それまでには気持ちを切り替えて、
ちゃんと一人でも立っていられるようにしとかないと…
そう心に決めて、私は家路についた
