出てきた私に仕上げとして、イヤリングとネックレスを着けた

「お綺麗です」

お世辞でも嬉しい言葉を、皆がかけてくれた

本当は、翔くんに言って貰いたい…

じわりとその想いが溢れ出てくる

「では、りりか様
待ち合わせの場所へ参りましょうか」

「はい…」

綺麗にして下さったスタッフの皆さんに、お礼を言って美容院を出た

「あちらの社長であらせられる、近藤様とは10時にホテルで、待ち合わせとなっております」

安全運転の車が、ホテルに向けて走り出す

「近藤様はお優しい方ですので、あまり気を張らずとも大丈夫です」

失礼だが、篠原さんにしては優しい言葉を掛けられて目を見開いた

私のこの哀れな状況に、同情でもしてくれたのかな

「…ありがとうございます」

相手が優しい人でも、そうでない人でも、そんなの私にしたらどうだっていい

「着きました」


美容院から割と近いところが待ち合わせだった様で、すぐに目的地に着いてしまった

「どうぞ」

ホテルのクルーが、ドアを開けてくれる

「ありがとうございます」

これから生涯を共に歩む人の前で、仏頂面は流石に失礼だと思った為、ニコリと笑顔の練習をクルーの人でする

上手く…笑えてるのかな…??

楽しくもないのに、笑顔を作るのは結構難しいな

そんな事を考えていたら、ホテル内のカフェテリアに案内される

どうやら、そこで相手が待っているようだった

カフェテリアには、ちらほらと人が居てどの方が近藤様なのかがわからない