「───わかりました
…彼には…私の周りの人達には、何も危害を与えないと、約束してください」

私一人の勝手な発言が、皆に影響を及ぼすならば、私は静かに父に従おう…

「…あぁ、そうしよう
お前にしては、賢明な答えが出せたようだな」

自分の思い通りに事が運び、父は嬉しそうに見えた

「…ですが、後一日、私に時間を下さい」

「良かろう
お前にも色々と心する事がある事だろう」

「…ええ」

「……土曜の朝方、篠原を迎えに行かす
お前はもう今の家には戻れない事を覚悟しておけ、いいな」

それが別れの挨拶だった様で、私は父の元を離れた

エレベーターに乗って降りているとき、機械の様な声が室内に響いた

「流石は、りりか様でございます
大変素晴らしい御回答でございました」

「………ありがとうございます」

結局、私はここに生まれ落ちた時から、あの人に振り回される運命なのか…

走り出す車から見える夜の景色を、ただ何も思うこと無く見ていた

もう、何もかもが…どうでもよくなった──