「だが、条件を向こうが出してきた
私の血縁者から婚約者を出せ、とな」

…何よ、それ…

「私の子は息子しかいない
だが一人、それに適した奴が居たのを思い出したのだ」

「……それが私って事ですか」

「そうだ
ただの気まぐれでお前にいろいろやったきたが、まさかこんなとこでそれが報われるとはな」

ハッと鼻で嘲笑った



「──お断り致します」

私はもう、貴方の気分に振り回されたくはないのだ

「…そんな意見が私に通用すると思ったのか??
流石はあの女の娘だけあって、無知な所は一緒だな」

「母をっ、お母さんを馬鹿にしないでっ!!!!」

貴方と違って、お母さんは馬鹿じゃないっ!!!

「五月蝿いぞ、小娘
お前は私には逆らえない
…あの女が死んでから、誰に世話をして貰ったと思っているのだ??」

「…っ…」

痛いところを突かれて、何も言えない…

「娘など思ってもいないお前に、家をやり、金をやり、学校まで通わせてやっているのは、どこのどいつだ
…この私だろう??
そんな私に、恩を返そうなどとは思えないのか」

口端をグイッと上げ、薄気味悪く笑った