「…いったい、何のようですか」

あの時、もう関わるなと言って私を突き放したのはあちら側ではないか

まだ中学生だった私に対して、あの時の父の言葉は鮮明に覚えている

父には本当に感謝もしているが、それと同時に母を見捨て自分の娘をも見捨てた父に、何ともいえない気持ちがあった

それはもしかすると、気づいていないだけで憎悪の心であったりするのかもしれない

衣食住を与えてくれている面では、表しきれない程の感謝がある

でも何故、持病持ちであった母をほったらかしにして、悠々自適に暮らしていたのか

ぐちゃぐちゃに混ざり合う父への想いは、考えれば考えるほど答えなんか出るはずもなく、

とうとう考えるのを放棄し、“今の生活を与えてくれた父に感謝する”として気持ちを片づけたのだった

ようやく、そうケリが付いたと言うのに…

『私の口からは詳しいことはお話出来ません
ただ、明日の夕方、会社へ来るようにと
ですので、明日の放課後にりりか様を迎えに参らせていただきます』

「はっ??」

『それをお伝えするべく、ご連絡させて頂きました
それでは明日、お待ちしております』

頭の整理がつかない私を放って、ブチリと通話が切れた

何よ、それ…

また父に、振り回されなきゃいけないの…??

私は静かにその場に座り込んだ

そして少し考えて寝室を出た