「りりかが見てぇってたから、行こうと思って」

「ふふっ、よく覚えてたね
あの話したのって、かなり前じゃない??」

たまたま見ていたテレビ番組で、今から行く所の特集をしていたのだ

「うん
だって俺、記憶力いいから」

「えー、ホントに~??」

こんな他愛もない会話をしていたら、目的地に到着

「うわぁ…!!
すごい、すごい!!!」

生まれて初めて、こんな大きなクリスマスツリーを見た私は、周囲も気にせず大興奮

それを横で見ている翔くんに、

「子供みたいだな」

と言われて恥ずかしくなった

「…だって、初めてなんだもん…」

お母さんが生きていた頃は、クリスマスイブは家でケーキを作ったりして、仕事の母の帰りを待っているのが当たり前だった

いなくなってからは、適当にその日を過ごしていた

「ふはっ、拗ねんなよ」

「別に~拗ねてないもん」

ケータイを出して、こんなにも綺麗なツリーを写真に納める

「りりか
二人で撮ろうぜ」

「…う、うん」

一瞬なんだけど公共の場で、こんなにくっついて写真を撮るのは恥ずかしかった

「これ、りりかにも送ってやるな」

「うん、ありがとう」

この写真、絶対待ち受け画面に設定しよう!!

それからしばらくその当たりをぶらぶらしてから、夕飯を食べる事にした

この辺りのファミレスにでも行くのかなと思っていたら、地元に帰るみたいだ

「今から兄貴の店でクリスマスパーティーするらしくて、行こうと思うんだけど…いい??」

「そんなの勿論だよ!!」