「グレン様!」
「…グレン様?」
「フェイラぁぁん!」
ダダッと走り、あっという間にフェイランさんの胸に飛び込むと、グレン様と呼ばれた子は嬉しそうに声を出す
「フェイラン!どこに行ってたんだよっ、探したんだぞっ」
「ふふ、ごめんなさい。海鈴様に頼まれて仕事をしていたのよ?」
「………」
いつの間にか、声や話し方が女性に戻り背中を優しくなでる
「うっ、グスッ…お、仕事?そっか…それじゃあ、仕方がないっ」
涙を拭い、フェイランさんから離れると男の子は不意に私に視線を送る
「あ、れ…フェイラン…だぁれ?」
「……あ」
「あぁ…グレン様、彼女はね海鈴様の花嫁よ」
「え、兄様の?」
「あ…こんにち、は」
真っ直ぐな、濁りのない瞳で見つめられゴクリと息を飲むと男の子はフェイランさんの背中に隠れる
「…あ」
「…………」
身体を震わせ、怯える男の子
もしかして、怖がられてる?
そんな反応を見ているとフェイランさんは男の子の頭を優しくさわる
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