二重人格神様






――――――…
――――…



「じゃあ、おばさん!行ってくるね」


「えぇ、いってらっしゃい」


ニコリと笑うおばさんにそう良い、私は玄関のドアを勢いよく開ける



「ん…暑い…な」


ふわっと身体を突き抜けるのは生暖かい風


そして、耳を掠めるのはミーンと言うセミの鳴き声


懐かしい、と言うべきか…いや、久しぶりの感覚に私は大きく息をすう



「…はぁっ…でも…暑いけど、やっぱり田舎っていいね」


「ふふ、不便なことばかりよ?何処に行くにも車がないと駄目だからね」


「でも、緑いっぱいですよ。あ、でも、ごめんなさい。なんか、お父さんがいないのに私だけお世話になっちゃって」


「気にしないで、可愛い姪だもの」


「…おばさん」

ニコリと笑うおばさんに私もニコリと笑い返す



そう、私は今…父親の姉である、おばさんの家にいるのだ