二重人格神様






「え、違いますよ…」


「そうなのかい?遠慮なんてしなくて大丈夫だよ。事情は言えないけれど、僕は人間の願いを叶えないといけないんだ。なんでも言って欲しい」




「そんな、本当に叶えたい願いなんて…別に、ないです」


「そうなの、かい?そう、か…それは、すまない」


「いえ…それに、私の願いは…叶えてもらえませんでしたから」


「え?」


「あ、いえ。ごめんなさい」


「…いや」


「……………」


「………」

「………」


うっ…なんか、微妙な空気になっちゃった


本当に龍神様って、ことがわかったから…帰ろうかな



「あの、じゃあ…私は帰ります」


「あ…」


「会えて良かったです。龍神様」


「………」


「それじゃあ、失礼します」


頭をさげ、微妙な空気の中…帰ろうとすると…



「待って」


「あっ」


ギュウと、伸びてきた手を握られ、そのまま視線が合う