いないし、窓も開いてるし、この散らかりよう
「…もしかして、今までこういう所、隠してたのかな」
なんて、隠す必要なんかないか
仕方がない、紙切れくらい綺麗に纏めてあげよう。今日、あんな態度とったし、役に立ちたいから
そう、考え、フェイランさんから預かった資料をテーブルにおき、床に散らばる紙を拾った瞬間
ー…
『いのり』
「…え?」
何処からともなく、私の名前を呼ぶ声がした
「海鈴、さん?」
『いのり』
「どこに…あ…」
いや、待って。この声は海鈴さんじゃない
何処か懐かしさを感じるこの声は…
「…あの、夢の…声だ」
『そうだよ。いのり』
うそ、何処にいるの?!
慌てて左右や後ろを振り返るも声の主はいない
「どこですか?どこに、いるんですか?!」
『いないよ、ここには』
「へ?」
『今は、君の頭に語りかけてるから』
あたま、に?
そっと頭を触るととても不思議な感じ。仁方に信じがたいことなのに、頭に響くリアルな声が本当だと感じる
『いいかい?私の話をよく、聞くんだ』
『………』
『今すぐに、部屋に戻るんだ。海鈴には絶対にあってはいけない』
『…え』
『もうすぐ帰ってくる、だからはやく、部屋にいき、彼と顔を合わせてはいけない』
「ど、どうして…?」
『下弦の月は、彼を悪魔へと導く』
「…下弦の、月…」
下弦の月、ルーテルさんもそう言っていた。
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