二重人格神様







「え?…は、いの、り?」

「…あ」


海鈴さんと視線が合い、おかずだと言われた女が私だとは思わなかったんだろう


唖然としたまま私を見つめ、その視線をフェイランさんに移せば彼女はにこりと笑い私の肩に手をまわす



「あら、そう。なら、残念ね」


「「…」」


「海鈴様は本も小鳥ちゃんもいらないって」


「あ…いや」


「帰りましょう?これ、以上海鈴様の機嫌を損ねるのも悪いものね」


「え…で、でも」



わたしは、話したくて来たのに…


フェイランさんも、きっかけをくれるって…


「…」


だけど、確かに海鈴さんはあまり機嫌がよくないかもしれない。あんな風に怒鳴ったし


あんなことをした私には会いたくないんだよね。だから、女は辛いって



話す、タイミングは今じゃなかったのかもしれない



「…わかり、ました」


「そうね、残念だけど仕方がないわ」


「…はい」


「……っ」


フェイランさんに向かって頷き部屋から出ようと、背中を向けた瞬間ー…



「ま、待った!」



「「?」」


後ろから、聞こえた声に振り返れば彼は少し言いにくそうに髪の毛をかきあげる



「いや、その…えっと、だね」


「なに?海鈴様?」


「やっぱり…いる」

「…え?」


「あら、なにを?」




「だから、分かってるだろう!」


頭にあった手をどかし、そのままスッと私を指さす



「本、いる」


「…あ」


胸がキュンと引き締まった。指さす先が本なのに彼の瞳は真っ直ぐ私を見つめてる。


自惚れかもしれないけれど、そう感じてしまうのはなんでだろう


思わず本をギュウと握るとフェイランさんはニヤリと笑い肩に添えた手で私の手を握るなり強引に歩きだす



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