あの時と同じ、嵐のように現れ去っていった…本当に誰だったんだろう……あの男性は、何がしたいの?
彼らの仲間なんじゃないの?
そんな疑問を抱きながら、彼が去っていった方向を見つめていると…
「…いのり?」
「……………!」
海鈴さんの声が耳をかすめ、ドクンと胸がなった
あ…海鈴…さん…
「………」
視線をさ迷わせながら、彼をみると海鈴さんはいなくなった彼のほうを見つめ首をかしげる
「いったい、彼は誰なんだい?」
「それは…私にも、よくわから、なくて…」
「そう…まぁ、いのりを助けてくれたみたいだし…あの言い方は気になるけど、いいか」
「…………」
「あ、それで…怪我はないかい?」
長い髪を揺らしながら私に近付き、座り込む私の前にしゃがみこみ顔を覗き込むように私を見つめる
「怪我、しているね。まったく…僕の言うことをなんで聞かなかったんだい?あれだけ、注意したじゃないか」
「…ごめ、ん…ない」
だって、だって……
海鈴さんの少し冷たい、怒っているような言葉に私は頭を下げた
「いいよ…言い訳も理由も後で聞くから。それより、早く屋敷に帰ろう。傷の手当てをしなくてはいけないから」
そう言い、立ち上がり…そっと私に右手を差し出す
「…………っ」
細長くて、色白で、大きい綺麗な手
その手で、さっきまで…………っ
なんて、私は何を考えてるんだろう。せっかく来てくれたのに
その手を取ることを私は躊躇っている
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