二重人格神様





前も、こんな風に押し倒された

刀で脅されて……


「あ…や、だっ」



あの日の出来事が走馬灯のように私を襲う


どうしよう、どうしようっ


「は、離して!」


「離すかよ。この時を待ってた。お前の周りにはいつもアレスや海鈴様がいたかなぁ…気が狂いそうになるくらい、まったんだぜ」



「…あっ」


頬から流れる血を触り、その血を首筋から鎖骨反対の頬に塗りつけニヤニヤと笑みを溢す



「あぁ、いいな…やっぱり、女の恐怖で潤んだ顔はたまらねぇ」



「…やっ」


や、やだっ


必死に彼から逃れようと身をよじるもびくともしない



やだよっ、やだよっ



「海鈴、さんっ…アレスっ」



たすけて。海鈴さんっ、アレスっ


「無駄だって。なんせ、海鈴様は…今は違う女と楽しいことをしてるんだからな」



「…っ?!」



「なんだよ、その顔…今に始まったことじゃない。海鈴様は…誰でもいいんだ。傍にいてくれて、触らせてくれるならな」



「…っ」


「勘違いするなよ、自ら花嫁にされたからって海鈴様は他の奴もだく、お前なんか愛してないんだよ」



「…っ」



そんなの、そんなの…分かってる!私は偽装なんだ、愛がないなんて百も承知だ


ルーテルさんの話で痛いほど分かった。それなのに、彼らはまだ…私を追い込むの?



もう、いやだよ……



「………?」



ポロポロと涙が溢れ、抵抗する気も失せる