久しぶりに熟睡できたような気がして目を開けると、視界に映りこんできたのは見慣れない白い天井だった。


「あ、千沙、目ぇ覚めた?」

「……しろ?」


間近で聞こえた声に、視線を巡らすとパイプ椅子に腰かけていたしろが、困ったように小さく笑った。


「千沙、我慢しすぎ。胃に穴空きかけてたらしいよ?」

「ホント?」

「ほんとだって。急に倒れるから俺、どんだけびっくりしたと思ってるの」


……そう言われれば、あの技術室でしろに縋りついた以降の記憶がない。

やっちゃったと思う反面、どこかすっきりしたような気分だった。


「さっきまでお兄さんいたんだけどね、今、ちょっと外してる。そのうち戻ってこられると思うけど」

「あー……そっか、ごめんね。迷惑かけて」


ここまで運んできてくれたのも、連絡をつけてくれたのもしろなのかなと若干申し訳ないように思う。
そしてずっと、ここにいてくれたのかな、と。

そう告げると、しろは微笑を引っ込めて、あまり見せない真面目な顔をして姿勢を正した。