歩けるか確認しようと、お客人を覗き込んであたしの心臓はびっくりする位、高鳴った。


間違う訳がない。


あたしの頭に、鮮明に焼き付いている。


虚ろな目であたしを見上げたその顔は、早時そのものだ。


もう一度会いたいと、願って止まなかった鬼。


でも、あたしの目の前に居るこの方は、鬼ではなく人だ。


「炎。どうしました?
客間の用意をお願いします。」

怪訝そうに、礼孝様があたしに言った。


「は…はい。
…ただいま…。」


まだあたしの心臓は、バクバクと早鐘を打っていた。