あたしを見て、驚きの表情を見せなかったのは、21年の人生の中でただ一人だけ。


6歳の時に偶然出会った鬼。


早時。


とても優しい笑顔と口調で、俺に関わるなと言われた。


だけど早時は、あたしを見て驚かなかった。


その事だけで、あたしには早時が特別に思えた。


鬼だということにまでは、考えが届いていなかった。