千年の追憶*番外編*

「ありがとう。
すっかり良くなった。
…礼が言えたので、俺はこれで失礼する。」


青年は立ち上がり、本当に出て行こうとした。


「立ち去る前に、名前くらい教えてくれてもいいでしょう?
私は、礼孝といいます。」


「俺は早時。
鹿住早時(かずみはやとき)。
…世話になった。」


「まぁまぁ、そんなに急がなくても。
“人”と関わるのが、そんなに不安ですか?」


「…っ!!」


私の言葉の意味を敏感に察知して、早時はことのほか驚いた表情を見せた。


「早時。
キミ…人ではないね…?」